人生二度目の声優お渡し会 吉田有里さん

 

昨日、『お祓え!西神社』という西明日香さんと吉田有里さんによるネット声優番組のイベントに行ってきた。1時間ほどのイベントにお渡し会もついたものであった。

これはイベントの内容をレポートするものではなく、このたび行って考えたことなんかをつらつら書き落とそうとするものにすぎない。

 

 

自分にとってこのイベントに参加するということは大げさに言えば革命的出来事だったと言っていい。なぜなら、このイベントはまったくもってアニメとの関連がなく、純粋な「声優イベント」であったからである。

『ミリオンドール』で在宅オタと現場オタについての話をしているが、自分は8:2くらいで在宅オタのつもりである。イベントに行くのは年に数回で、ライブイベントとその他のイベントが半々か後者が少し多いかという感覚だ。それ以外は基本引きこもってアニメを見ているわけである。ただ、ガンガンイベントに行っているような現場オタを苦々しく思っているようなことはなく、むしろ楽しそうでいいなあと思っている気持ちだったりする。

「イベントに行く」と言っても、自分にとってそれは(基本的には)アニメが前提となるものである。(であるので、現場によく行くけれどそれに関連するアニメをあんまり見ていないというオタクについては多少苦々しく思うところはあったりする。人それぞれなのでわざわざツッコみはしないが) 特定アニメのイベントやアニソンライブなどというのはアニメを知っているからこそ楽しめるし、知っているから参加しようと思う。自分も参加するならそういうものに限るなあなどと考えているのである。

しかし今回行ったイベントはそういったものとは明らかに一線を画したものといっていい。

 

ではなぜ高い交通費をかけてまで参加しようと思ったのか。正直に言うと「吉田有里さんとお渡し会でお話したい」これが九割以上のモチベーションとなっていた。自分は『洲崎西』リスナーではないということもあり、西明日香さんに会いたいということはそれほどモチベーションにはなっていなかったのである。

つまり、それほどまでに自分の中で吉田有里さんは大きな存在であったのだということを再確認した次第であった。

 

なぜそこまで吉田有里さんを好きになったのか。もちろん声とか演技が好きで、ということはあるだろう。しかし自分の中ではその理由を大きく二つのことに求めることができると思っている。これはおそらくは他の声優でも当てはまることだろうと思っているのだが。

 

 

まず初めに、吉田有里さんのアニメとしてのモブも含めたデビュー作である『未確認で進行形』をリアルタイムで見ていたことが挙げられる。Wikipediaに載っているお仕事自体は未確認で進行形の1年少し前の『電撃作戦トルネイド』というCDが初めてであったようだが、やはりアニメという媒体での存在をその誕生から見守り続けることができているということが大きいのだと思う。大抵の声優さんの場合、いくつかモブをやったりサブキャラをやったりしてからメインに抜擢され、自分はそこで名前を知ってから「ああ、あのアニメにも出ていたのか、ふーん」などと思うものである。その場合、声優さん本人の意識と自分の意識に"差"が出てきてしまい、そこの差をある意味での「コンプレックス」に感じてしまうことが心のどこかであるように思う。

そういった「コンプレックス」というのが少ないままにファンになれたというところが、自分が吉田有里さんを好きになっていった理由の一つであると思う。(もし『電撃作戦トルネイド』のときから好きになることができていれば、それは完璧と言えるかもしれない。そこまでの人がどれだけいるかはわからないが)

 

また付け足しとして、『未確認で進行形』を見ていた当時、自分は深夜アニメを見始めるようになってまだ1年程度であり、その当時出ていた声優さんたちのほぼ全員が自分の見たことのないアニメにも出演経験がある人たちだったのである。そんな中、『未確認で進行形』はメインの3人(照井春佳、松井恵理子、吉田有里)は全員がメインキャラクターを張るのは初めてと言っていい状態で、かつその中でも吉田有里さんは以上のようなワケだったのである。つまり、自分にとっておそらく初めて「声優さんのデビューをこの目で見た(この耳で聴いた)」ということがはっきりと意識的にできたアニメであり、声優さんであったということになる。その自分にとっての「初めて」という感覚がその3人、特に吉田有里さんを好きになるという感情に大きく作用したことは想像に難くない。

 

 

そしてもう一つの理由として、『未確認で進行形ラジオ』の存在が挙げられる。

声優ラジオというくくりだと、それ以前にもいくつか聴いたことはあるのだが、「アニラジ」というくくりで言うとこのラジオが初めてであった。またそれまで聴いたことのある声優ラジオは始まってからかなり時間が経ってから初めて聴いており、また定期的に聴いていたわけでもないことから、最初から(正確に言うと初めて聴いたのは第五回かそこらへんだったように思うが)定期的に聴いていたという点においても初めてのラジオであった。

 

さっきから「初めて」という言葉をあまりに多用しており処女厨みたいで嫌だがそこは気にせず次に進める。

 

さっきのこととも通じるが、初めてメインを務める3人、もちろんラジオも初めての経験であったようである。そして自分もアニラジを聴くのは初めてである。そこに意識の共有のようなものを感じることができ、3人の素晴らしいバランスも相まってそのラジオが、アニメが、そしてその3人が、そして吉田有里さんが大好きになっていった。

ラジオというのは台本を通してということにはなるが、声優さんの素に迫ることができるもので、その後を含めても自分が声優さんを好きになるにあたってラジオの存在は非常に大きいと思っている。

 

で、その『未確認で進行形』ラジオの中で自分は人生で初めてラジオにメールを送り、人生で初めてメールが採用されたのである。(初めて送ったものと初めて採用されたものは違うメールだが) その採用されたメールは吉田有里さんに言及するふつおたで、採用記念としてサインとメッセージ入りのステッカーをいただくことまでできた。(もちろんそんなことは初めてのことである) 余談だがDJCDは全巻購入し、その回はそれこそ何度も聴いたのでその回の流れや自分以外の読まれたメールはほとんど暗記してしまっていたりする。

 

 

……というところでお渡し会に話を戻すのだが、吉田有里さんとのお渡し会に行きたかったのは、その記念ステッカーを見せて、ありがとうございましたと報告がしたかったからなのである。

もちろんそんなことは未確認で進行形関連のお渡し会でするべきなのであろうが、なにぶん今後その機会があるかは未確定なのである。今回は意を決して「これ、覚えてらっしゃいます…?」とステッカーを見せた。すると「…………ああー!!!覚えてます覚えてます!」とうれしいお声。第一部ではそんな感じで、第二部では(一部と二部両方参加した) 吉田有里さんの前に立つと「夜の部の方もありがとうございます」と言われ、覚えてもらっていたことに感激を隠せない状態に。「そんなこともありましたねえ…(しみじみ)」という言葉が聞け、ここでも「懐かしい」という「感覚の共有」がものすごく自分を気持ちを高揚させたことをよく覚えている。さらには「また会いましょうね」という言葉までかけてもらい、完全にむちゃくちゃにうれしくなってしまったのであった。

 

接近戦で覚えてもらうとかまた会いましょうという声をかけてもらうとかいうことは、そういったイベントに頻繁に行っている人からすれば、もちろんうれしいのはうれしいだろうけれども、なくはないことなのだと思う。だが、これまで散々好きだという思いを溜めて、初めて実際にお会いすることができてそれだけで感無量なのに、あまつさえ上記のようなことを言ってもらうことができたのである。色々なことが合わさって吉田有里さんという声優を好きになり、さらにそうしたことが作用しあい複合しあって今回最高の形で初めての接近戦を終えることができた。大げさに言えば一つの到達点と言っていいかもしれない。

 

そしてこの到達点はアニメを発端としながらアニメとは関係のないところで達成されてしまった。声優オタクとはなんなのか。自分はどこまでいってもアニメオタクであり、声優オタクであるのはアニメオタクであってこそだというように思っていた。今も今後もこれは変わらないとは思うけれども、今後のオタク活動を考えるにおいても今回のことは一つ大きなことであったと思ったので長ったらしいブログを書いたというところなのである。

 

これまでアニメを介さずに声優さんを好きになったことはない。いくら名前を知っていても、アニメに出演してキャラクター等を演じているのを見たことがなければそれは「知らない声優」である。例えば、麻倉ももさんはこれまで名前は聞いたことがあるけれども「知らない声優」であったのを、今期Charlotteに出演しているのを見て、初めて声優としての存在を知ったことになっていたりする。

弁明だが、アニメ出演だけが声優の仕事と考えているわけではもちろんない。ゲーム、外画吹き替え、CMや番組ナレーション、ラジオ、歌唱活動、そしてバラエティまで。バラエティは置いておいて、その他上に挙げたものは立派に声優の仕事として挙げられるべきものであると思っている。声を商売道具にしている以上、私は声優がラジオや歌といった範囲をカバーすることになんの問題もないと思っている。バラエティについても、声優がする必要性は感じていないけれども、するべきでないとは全く思わないし、需要もそれなりにあるというところもあり、特にまだ売れていない声優にとっては大切な仕事となっているのだろうと思ったりもする。

 

それでも自分にとっては、「アニメ」というものを抜きにしては声優は存在しえないと感じている。それは自分がアニメが好きだからであり、誤解を恐れずに言うと、アニメを抜きにしてはオタクたりえないという一種凝り固まった信条があるからだ。

この信条が今後どこまで有名無実化するのか、ないしはすでにそうなっているのを見ないふりをしているだけなのか、もしくはやはりこの信条を今後も固く持ち続けるのか。潜在的オタク歴はまあそこそこだと思っているが、本格的オタク歴はまだまだ短い。そんな自分を顧みるにあたって、昨日のイベントを振り返りながらのこのオタオタしい文章をネットの海に残していくことにする。