ガルラジチーム対抗リツイート合戦 チーム双葉応援SS


(うーん……何度見てもそう伸びるもんでもないか……)

ガルラジの、チーム対抗リツイート合戦なるものが始まった。2ndシーズンになって明確なポイント制を打ち出したガルラジ運営だったが、今回のはそのうちの一つ、ツイッターでの該当ツイートのリツイート数が多かった上位3チームにポイントが加算されるというものだ。
わたしたち、チーム双葉のリツイート数は現状ギリギリ3位。1位の富士川、2位の徳光はそれぞれ抜けているけど、3位から5位は団子状態だ。

「なになに彩乃ちゃーん、そんなにうちのチームのリツイート数が気になるのかな〜?」

彩美だ。

「た、たまたま見てただけだし。あんたこそ、さっきツイッター見て『ええ〜〜!?』とかデッカい声出してたでしょ」
「だってー。ウチのチームがリツイート全然伸びてないんだもん。この山梨が生んだ令和最初のスーパーセクシーアイドル彩美ちゃんがいるのにこの体たらくはまずいと思うんだけど!」
「はいはい、あんたはアイドルじゃなくてフリーターね。あとセクシーどっからきたのよ」

我がチーム、チーム双葉の2ndシーズンは実際のところ内容はともかくポイント的にはふるっていない。ガルラジクイズこそカナのおかげで正解できたけど、ラジオの再生数、アンケート結果ともどちらかといえば下の方だ。

「いやー、しかし富士川はすごいね。あっという間にリツイート数1位じゃん」
「初めは徳光が抜けてたけどね。富士川の固定ファン層?がいるってことなのかな」
「わたしのファンだっていっぱいいるはずなのにな〜」
「どこにいるのよ……」

そんなことを彩美と話していたら、カナが難しそうな顔をして部屋に入ってきた。

「うーん……」
「「カナ、どうしたの?」」
「みーちゃん、のーちゃん。あのね、ガルラジのポイントの計算をしてたの」

カナは一枚のメモを見せてくれる。

「わたしが今確認した限りでは、ラジオの聴取者数は2回とも4位。アンケート結果は今確認できるものがないけど、たしかそれも4位くらいだったはず。ガルラジクイズの3ポイント分があるとはいえ、上位チームとは差が開いちゃってると思う……」

それは実際そうだ。特にチーム徳光は聴取者数はもちろんアンケート結果も抜けていた。今リツイート企画でトップの富士川も、白糸さんが2ndシーズンになって気合いが入ってるっぽいし、なにより年魚市さんのトーク力にはかなわない。

「だからこそ、1位を取るためにこういう企画は落とせないと思う。もちろん、次回以降のラジオを面白くすることも重要」
「おーさすがカナだね。ということはあたしのおねーさんとしての魅力ももっと押し出していかなきゃ!」
「変なポーズでウインクするのほんとやめて……」
「あれー?銭湯でセクシーポーズしてた彩乃ちゃんがなに言ってんのー?」
「彩美お前!!!」

バカ美といつもの口げんかをしたあと、ふとまたツイッターの画面を開いてしまう。「アツーい夏にぴったりのアツーい戦い」か。リビングのテレビからかすかに甲子園の音が聞こえる以外は、クーラーの効いた部屋でアツーい夏を感じることはできない。そういえば、とリツイートキャンペーンのツイートに各チームのキャッチコピーが載っていることにあらためて気づいた。
『3姉妹がおりなす等身大のハートフルごきげんラジオ』わたしが考えたチーム双葉のキャッチコピーだ。

「……やっぱりこのキャッチコピーどうかな。カナのやつの方がリツイートもらえたんじゃない?」

ついついこんなことを言ってしまう。わたしはお姉ちゃんなのに。

「うーん、でもまあよかったんじゃない、彩乃ので。なんといってもあたしたちが"三姉妹"だってことが重要でしょ」
「わたしもそう思う。三姉妹であることはわたしたちの唯一無二の特徴。それがストレートに伝わるのがいいと思う。"ハートフル"ってところも、わたしは好きだよ」
「うーん、そう?」

でもまあ、二人がそう言ってくれるなら、これでよかったのかな。

「でも、蓋を開けてみたらどのチームもなかなかいいキャッチコピーだなって思う。特にチーム御在所の『一度聴いたら、逃げられない』なんかは、短くて、でも中身が気になるようなかんじ。参考になる」
「あたしはチーム富士川のキャッチコピーすごいと思ったな。『いつか、あの時は楽しかったと言えるように』って、なんだかオトナって感じ」
「あたしはプリンセスミルミルのチーム徳光のキャッチコピー好きだなー。『中学生女子とオトナ女子の解散寸前凸凹コンビ』! ね、凸凹コンビってあたしと彩乃みたいじゃない?」
「あはは、たしかにね。でもうちはカナがいるから。凸と凹、そして天使だよ〜!」

他のチームもそれぞれが1位に向けて頑張ってるし、どのチームも面白い。それに、どのチームも楽しそうにラジオをやってる。もちろん私たちも、ラジオはもう生活の一部みたいになってて、すっごく楽しい。

「あたし、勝ちたいな」

つい、口から思いが溢れた。
このガルラジで1位になれたら、わたしも少しは何かになれたことになるんだろうか。

「もちろんあたしも勝ちたい!ガルラジで1位になってー、華々しくアイドルデビュー、飾るんだー!そしたらカナも一緒に東京行こうねー」
「ラジオの企画なのにいきなりアイドルデビューできるわけないでしょうが!それに、カナは渡しません!」
「わたしも、勝ちたい!」

珍しくカナがはっきりと言った。

「わたしね、この3人で1位取りたい。みーちゃん、のーちゃんがステキなお姉ちゃんだってこと、いろんな人に知ってほしい。……それに!ラジオはパーソナリティ同士の関係が大切。三姉妹として生まれたときから一緒のわたしたちには、一日の長がある」
「「カナ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」

そうだ、わたしたちたまささsistersにはわたしたちだけの魅力がある。生まれてこの方ずーっとたまささsisters、そしてこれからも、ずっとたまささsistersだ。

今日の晩御飯は景気付けにカツ丼かな。