nun_tya_kuセレクションアニデミー賞 2021年アニメ振り返り

2021年もたくさんのアニメが放送されました。そして、たくさんのアニメを見ることができました。
自分は深夜アニメを見るようになって今年(2021年)でだいたい10年目ですが、年間の視聴本数としては今年(2021年)がキャリアハイとなりました。

2021年アニメ振り返りということで、本記事では「アニデミー賞」各部門を勝手に設定し、独断と偏見で各部門の受賞作品を選定、惜しくも受賞を逃したいくつかの作品とともに、その紹介と振り返りをしていきたいと思います。
本家アカデミー賞授賞式のことはほとんど知らないので、とりあえずやりたいように進行していきたいと思います。
審査員長は………………俺だ!!!!!

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授賞式会場に駆けつけたみなさん

ノミネート作品(2021年放送)


まずはノミネート作品として、2021年に放送され、筆者が全話視聴した作品を各クールごとに挙げていきます。
なお、2020年からの継続作品、2022年への継続作品も含みます。2クール作品は1本としてカウントしますが、分割2クール作品はそれぞれを1本としてカウントします。(話数が継続していてもクールが連続していなければ別カウント) 再放送作品および個人的に視聴した過去作はノミネートとしては除きますが、視聴記録として最後にタイトルを挙げておきたいと思います。



・冬クール:35作品

30分枠:30作
『ミュークルドリーミー』(2020春~2021冬)ひぐらしのなく頃に業』(2020秋~2021冬)『キングスレイド 意志を継ぐものたち』(2020秋~2021冬)のんのんびより のんすとっぷ』『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』『ゆるキャン△ SEASON2』『弱キャラ友崎くん』『裏世界ピクニック』『装甲娘戦機』『俺だけ入れる隠しダンジョン』『天地創造デザイン部』『SHOW BY ROCK!! STARS!!』『無職転生異世界いったら本気出す~』『ホリミヤ』『WIXOSS DIVA (A) LIVE』『プレイタの傷』『SK∞ エスケーエイト』『ゲキドル』『怪病医ラムネ』『ウマ娘 プリティーダービー SEASON2』『回復術士のやり直し』『IDORY PRIDE』『ワンダーエッグ・プライオリティ』『オルタンシア・サーガ』『スケートリーディング☆スターズ』『EX-ARM エクスアーム』『怪物事変』『Levius レビウス』『蜘蛛ですが、何か?』(2021冬~2021春)『バック・アロウ』(2021冬~2021春)
ショートアニメ:5作
『八十亀ちゃんかんさつにっき 3』『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』『アズールレーン びそくぜんしんっ!』『おとなの防具屋さんⅡ』『アイドールズ!』



・春クール:35作品

30分枠:34作
『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』『ゾンビランドサガ リベンジ』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』『ましろのおと』『聖女の魔力は万能です』『転生したらスライムだった件 転スラ日記』『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』『恋と呼ぶには気持ち悪い』『美少年探偵団』『憂国のモリアーティ(2クール目)』『スーパーカブ』『ドラゴン、家を買う。』『やくならマグカップも』『究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら』『戦闘員、派遣します!』『灼熱カバディ』『オッドタクシー』『SSSS.DYNAZENON』『ゴジラ S.P』『イジらないで、長瀞さん』『さよなら私のクラマー』『Fairy蘭丸 ~あなたの心お助けします~』『シャドーハウス』『86 -エイティシックス-』『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』『MARS RED』『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD』『Vivy -Fluorite Eye's Song-』『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』『バクテン!!』『東京リベンジャーズ』(2021春~2021夏)『BLUE REFLECTION RAY / 澪』(2021春~2021夏)『ミュークルドリーミーみっくす』(2021春~)
ショートアニメ:1作
『黒ギャルになったから親友としてみた。』



・夏クール:35作品

30分枠:32作
ゲッターロボアーク』『転生したらスライムだった件 第2期 第2部』『カノジョも彼女』『ぼくたちのリメイク』『探偵はもう、死んでいる。』『死神坊ちゃんと黒メイド』『月が導く異世界道中』『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』『魔法科高校の優等生』『ひぐらしのなく頃に卒』『小林さんちのメイドラゴンS』『うらみちお兄さん』『RE-MAIN』『ヴァニタスの手記』『チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア~』『迷宮ブラックカンパニー』『ピーチボーイリバーサイド』『Sonny Boy -サニーボーイ-』『ラブライブ!スーパースター!!』『精霊幻想記』『現実主義勇者の王国再建記』『出会って5秒でバトル』『女神寮の寮母くん。』『かげきしょうじょ!!』『D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION』『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-』『天官賜福』『平穏世代の韋駄天達』『ぶらどらぶ』『白い砂のアクアトープ』(2021夏~2021秋)『SCARLET NEXUS(2021夏~2021秋)『ジャヒー様はくじけない!』(2021夏~2021秋)
ショートアニメ:3作
『極主夫道』『俺、つしま』『指先から本気の熱情2 -恋人は消防士-』



・秋クール:41作品

30分枠:34作
『やくならマグカップも 二番窯』『さんかく窓の外側は夜』『大正オトメ御伽話』『先輩がうざい後輩の話』『無職転生異世界行ったら本気だす~(2クール目)』『異世界食堂2』『古見さんは、コミュ症です。』『見える子ちゃん』『月とライカと吸血姫』『吸血鬼すぐ死ぬ』『結城友奈は勇者である 大満開の章』『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』『MUTEKING THE Dancing HERO』『境界戦機』『ヴィジュアルプリズン』『takt op.Destiny』『SELECTION PROJECT』『ブルーピリオド』『サクガン』『シキザクラ』『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』『メガトン級ムサシ』『進化の実 ~知らないうちに勝ち組人生~』『テスラノート』『逆転世界ノ電池少女』『Deep Insanity THE LOST CHILD』『マブラヴ オルタネイティヴ』『ビルディバイド -#000000-』『海賊王女』『闘神機ジーズフレーム』『最果てのパラディン『王様ランキング』『86 -エイティシックス-(第2クール)』※ (※ 最終回は2022年に持ち越し)
ショートアニメ:7作
『しょうたいむ! ~歌のお姉さんだってしたい~』『魔王イブロギアに身を捧げよ』『でーじミーツガール』『かぎなど』『180秒で君の耳を幸せにできるか?』『キミとフィットボクシング』『舞妓さんちのまかないさん(2021秋~)



・その他過去作:5作品

再放送枠初視聴作品:2作
『抱かれたい男1位に脅されています。』『色づく世界の明日から』
個人的過去作視聴作品:3作
ツインエンジェルBREAK』『極黒のブリュンヒルデ』『ノラと皇女と野良猫ハート



参考→animetick.net




計146作品、うちショートアニメは16作品でした。『やくならマグカップも』はEDが実写後ということもあり、30分枠としました。『極主夫道』はショートアニメ扱いとしています。自分は一気見が苦手なので、リアルタイムで見ることがほぼ習慣づいたがゆえの本数という印象です。いくつか録画をためてしまった作品もありましたが、ほとんどは次クールに持ち越さずに見切れたのはよかったかなと。見ようと思ったアニメはだいたい見られたかなと思いますが、深夜枠以外は手薄ですね。一点、『カードファイト!! ヴァンガード overDress』は2クール目の1話(「めぐみの雨」)を見て気になったのですが、結局見れずじまいでした。150本の大台に乗ったつもりで乗れていなかったので、来年はそれを目指していくか、それとも新作の本数にこだわるよりも過去作を意欲的に見る、あるいは気になった作品を繰り返し見ていくのもやっていきたいなとは思っています。




アニデミー賞各部門紹介

今回授与される、アニデミー賞勝手に設定した各部門をご紹介します。


・作品賞
今年の最も優れた作品に贈られる賞。総合的な評価をもとに、最優秀賞1作、優秀賞3作を選定。


・主演女優賞
今年最も優れていた主役級女性キャラ、そしてその声優に贈られる賞。キャラとしての魅力、声優の演技面の両方から選定。


・主演男優賞
今年最も優れていた主役級男性キャラ、そしてその声優に贈られる賞。同上。


助演女優賞
今年最も優れていた女性サブキャラ、そしてその声優に贈られる賞。同上。


助演男優賞
今年最も優れていた男性サブキャラ、そしてその声優に贈られる賞。同上。


・OP賞
今年最も優れていたアニメOPに贈られる賞。曲、映像、歌詞、本編とのリンクなどを考慮して選定。


・ED賞
今年最も優れていたアニメEDに贈られる賞。同上。


脚本賞
今年のアニメ作品で最も脚本が優れていた作品に贈られる賞。シナリオはもちろん、セリフによる加点も含めて選定。


・アニメーション賞
今年最も優れたアニメーション、すなわち「作画」を見せてくれた作品に贈られる賞。絵の美麗さ、動きなどから選定。3DCGも含めた広義の「作画」を対象とする。


・MMC賞
Most Moe Character賞。今年最も萌えだったキャラクターに贈られる賞。


・実況賞
今年最も実況していて楽しかった作品に贈られる賞。


・CM賞
今年のアニメ作品放映中に流れたCMの中で、最も印象に残ったCMに贈られる賞。


・ベストアワー賞
今年のアニメリアルタイム視聴の中で毎週最も深く印象に残った1時間、その2作品に贈られる賞。何曜日の何時~何時という単位で候補とする。時間が連続する放送枠である必要があるが、チャンネルがそれぞれ違っていても構わない。関東地上波準拠であることはご了承ください。


・ショートアニメ賞
今年のショートアニメ作品の中で最も優れた作品に贈られる賞。


・特別賞
その他、筆者が特別に表彰したいと思った作品に贈る賞。





以上、全15部門。実況賞、CM賞、ベストアワー賞は配信視聴だと対象にはならない賞となっています。
それでは各部門においての受賞作品と惜しくも受賞を逃してしまった作品たちを挙げていきながら、2021年のアニメを振り返っていきたいと思います。



受賞作品発表

主演女優賞

イリナ・ルミネスク(CV:林原めぐみ) 『月とライカと吸血姫』(秋クール)


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『月とライカと吸血姫』より、人間への憎しみと宇宙への憧れを背に宙へ飛ぶ吸血鬼、イリニャンことイリナ・ルミネスクを選出。
吸血鬼として差別を受けてきたこともあり最初は心を開くことはありませんでしたが、レフやシモニャンとの交流の中で少しずつ心が解けていき、回を追うごとに魅力が増していくようでした。人間とほとんど同じだけど、違うところも確かにある。そんな中で訓練に必死に耐え、「人間より先に宇宙に行く」という目標を叶える姿が本当に魅力的なキャラクターでした。
演じる林原めぐみさんは言わずと知れた大声優。貴重な深夜アニメでの出演になります。その演技は正直圧巻でした。特にレフとの距離感を乗せたセリフは抜群で、宇宙を目指す主役としてはもちろん、後半のレフとの関係におけるヒロインとしても非常に魅力あふれるキャラになっていました。林原めぐみさんのツンデレムーブが聞けたのは2021年のアニメシーンでも特筆事項でしょう。
キリッとしたキャラデザながらも、時折アニメアニメした表情を見せてくれたのもイリナの大いなる魅力です。バーで酔っ払ったイリナの破壊力はすごかった……。


惜しくも受賞ならなかった候補として、『ワンエグ』から強い在り方とコロコロ変わる表情がとても魅力的な大戸アイ(CV:相川奏多)、『かげきしょうじょ!!』から天真爛漫さと狂気の表裏一体、千本木さんのシンクロも強かった渡辺さらさ(CV:千本木彩花)、『ひぐらし業・卒』から最強で最狂、北条沙都子(CV:かないみか)などなど。



主演男優賞

レキ(CV:畠中祐) 『SK∞ エスケーエイト』(冬クール)

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超絶スケボーアニメ『SK∞ エスケーエイト』より人間的な魅力あふれるレキくんに主演男優賞を授与。
主人公として、時に明るく、時に挫折を経験しながらも、最後までスケボーが好きだという気持ちを貫いてくれたのがなにより嬉しかったです。畠中さんの演技はとにかく生っぽいのが魅力だと思っているのですが、それが十二分に活きたキャラだったと思います。特に中盤から終盤にかけての闇落ちレキの演技には震えました。
最強でなくても、彼は確かにこの作品の主人公でした。主人公に相応しいと思えるキャラクター、そしてそこに圧倒的な説得力を持たせられた畠中さんの演技、お見事でした。


他挙げたいキャラとして、『ビルディバイド』よりパン好きなのがかわいい蔵部照人(CV:上村祐翔)、『月とライカ』より普段の柔らかい演技に対して独房の声にならない叫びが強烈だったレフ・レプス(CV:内山昂輝)、『カノジョも彼女』より、二股以外は全部倫理がちゃんとしてるイカレ真面目野郎ながらどうにも嫌いになれない向井直也(CV:榎木淳弥)など。




助演女優賞

アーニャ・シモニャン(CV:木野日菜) 『月とライカと吸血姫』 (秋クール)

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主演女優賞に続き、月とライカより、モエニャンことアーニャ・シモニャン。
シリアスな展開、そして閉塞感のある舞台の中で、作品の清涼剤としてまさに「いるだけで嬉しい」キャラだったと思います。もちろんただかわいいというだけでなく、イリナのすぐ近くで共にある心強さ、終盤の苦しい展開の中での感情的な木野さんの演技も抜群に良く、まさにこの作品になくてはならない存在でした。ラジオ『アーニャ・シモニャン・ラジオニャン!』で監督が木野さんをベタ褒めしていたのも納得です。アニメ的な声でありつつ、作品の雰囲気にしっかりとハマった地に足のついた演技は本当に見事。イリナとも通じるところであり、月とライカという作品の持つ魅力でもありますが、ちょくちょくまさにアニメ的な表情をしてくれるのも嬉しいですね。
キャラクターとしては最終回もそうですが、やはりイリナと年越しを過ごした8話が素晴らしかったです。「私が吸血鬼だと知ったらどう思うのかな」「それより宇宙を飛んだと知った方が驚くんじゃないですか?」のやりとりに良さが全部詰まっている……。
木野さんのこういうアニメ声の中に生っぽさを同居させる演技が非常に良いと気付いたので、これから聴ける機会が増えれば嬉しいですね。


正直甲乙つけ難かったのが『ブルリフ澪』より駒川詩(CV:田辺留依)。最終的には仲間が増えていった本作の中で、2クールの間一貫して敵側にいたことによりグングン格が上がっていくのが良かったです。「マゾっ子ウタちゃん」のハンドルネームも破壊力抜群。田辺さんが楽しそうに演技されていた印象だったのも魅力的なキャラでした。
他には『装甲娘戦機』より7話「スズノの秘密」で存分に魅力を発揮したスズノ(CV.宮下早紀)、『やくならマグカップも』より主人公姫乃の幼馴染成瀬直子(CV.若井友希)、『ビルディバイド』より「ししょー!」がかわいい、そして2クール目では……?の棟梨ひより(CV.古賀葵)、『かげきしょうじょ!!』より歌唱力に説得力があった山田彩子(CV.佐々木李子)など。


助演男優賞


豊川刻四郎(CV:石川界人) 『やくならマグカップも』『やくならマグカップも 二番窯』(春・秋クール)


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カフェときしろうのマスターとして、姫乃の父として、そして土岐川姫菜の夫として優しく物語を見守っていた「お父さん」を助演男優賞に選出。
陶器のもつ特徴、そして魅力として、時を経ても残ること、形あるものである以上いつか壊れてしまうこと、使い続けることで味が出ることが描かれていたと思いますが、姫乃をはじめとした登場キャラクターの昔を知り、今を生き、そして未来を過ごすことができるという配置が「刻四郎」という名前とともに活きていたと思います。お母さん、姫菜と過ごした日々、それと重なる姫乃と陶芸の日々。特に1期のお茶漬け茶碗から最終話の陶器の座布団に至る部分は屈指でした。
彼自身妻を亡くした身でもあり、そして姫乃の父親でもありました。2期では姫乃にいらぬプレッシャーをかけてしまったのではないかと悩みますが、姫乃を教え導くようなありかたではなく、そうした人間臭さをずっとまとっていたところも魅力であり、それは「喫茶ときしろう」という「場」の居心地の良さにもつながっていたと思うんですよね。彼自身も姫乃のおばあちゃんにとっては(義理の)息子であるというのも良かった。
石川さんも父親役を見事に演じていました。刻四郎のある意味で友達のような父親の在り方にバッチリハマった優しい声でしたね。


他、『装甲娘戦機』より、年間ベストAIネイト(CV:水島裕)(性別はないが便宜上男優賞としました)、『テスラノート』より、盛り上げ上手のフライドチキン(パーティーの主役)、ミッキー・ミラー(CV:諏訪部順一)、『ひぐらしのなく頃に業・卒』より、随一の萌えオヤジ北条鉄平(CV:宝亀克寿)、『かげきしょうじょ!!』より、山田彩子の才能に惚れ込む小野寺先生(CV:飛田展男)などなど。イイオッサンがいるとアニメがうれしくなりますね。





OP賞

『ファイオー・ファイト!』 SMILE PRINCESS (『プラオレ! 〜PRIDE OF ORANGE〜』(秋クール) より)

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youtu.be




オリンピックイヤーということもあり、スポーツアニメも目立った2021年でしたが、冬季五輪競技のアイスホッケーアニメ、『プラオレ』OPを選出。
このOPは初見で完全に映像と歌に心を掴まれました。かわいいキャラデザとギャップのある強い言葉が散りばめられた歌詞、キレのあるアイスホッケー作画、Aメロのパックをパスするキャラクターたち、そして「ホッケー!」と「オッケー!」で踏まれた韻。日光要素の「サル」もおしゃれ。中でも好きなのはパックをパスするAメロで、ここで感じた「繋ぐ」要素が本編でも非常に重要視されており、特に序盤は視聴の導線としても大きな働きをしていたと思います。アニメーション的にはくるっと回って画面こちら側へパックをパスする優のところが特に好き。
Bメロ入りの「ずっとこのままあると思うな 時間は残酷なもの」の強さも印象的です。画面の楽しそうにはしゃぐドリモンのみんなとのコントラストが強烈で、作品全体を締めてくれるような一節です。
作詞は只野菜摘氏、作曲編曲は田中秀和氏。メロディも力強さとせつなさとカッコよさがあり、一時期はサビを聴くだけで涙が出ることもありました。


候補として最後まで悩んだのが『IDORY PRIDE』(『IDORY PRIDE』より)。このOPでのライブ作画は2021年でも屈指で、曲も抜群に良い。「眠れない夜と切ない朝を繋ぎ止めるのは夢なんだから」の歌詞すごくないですか?アウトロの「アイドリープライド...」は毎回テレビの前でタイミングを合わせて口ずさんでいました。受賞作の方が初見でグッと掴まれたかなという分の差で、僅差の争いでした。
他にも松根マサトOPで「一足飛びゅーん」の歌詞も楽しい『D-(A)LIVE!!』(『WIXOSS DIVA (A) LIVE』より)、同じくカードゲームアニメから、桜良ちゃんの笑顔、鳥居からピースで顔を出すひよりちゃん、そして頭を抱えるテルトがめちゃくちゃ良い『BANG!!!』(『ビルディバイド』より)、陶芸、そして本編とのリンクが見事な『扉を開けたら』(『やくならマグカップも』より)、とにかくBメロの「あるがまま なすがまま 流されて……」の部分が染みる『Naughty Love』(『女神寮の寮母くん。』より)などなど。個人的に松根マサト氏の作るOPが好きなので、今年は上記のウィクロスディーバの他にも電池少女、ジャヒー様と見れて良かったです。


ED賞

『マイニチカシマシファーマシー』 ノエラ(CV.松田利冴) & ミナ(CV.熊田茜音) with 桐尾礼治(CV.福島潤) (『チート薬師のスローライフ異世界に作ろうドラッグストア~』(夏クール) より)

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2021年のスローライフ異世界転生ものの一角、チート薬師のED。
アニメのEDとして欲しい要素が完璧に入っている、まさに完成されたEDだったということで受賞。このアニメ自体がかなり「型」のアニメだったと思いますが、わちゃわちゃした本編の後、「閉店の時間です」の一枚絵と次回のお客様を挟んでこのほぐしてくれるような曲調のEDが流れる時間が一週間で一番好きでした。
中でも好きなのは「バッサバッサとさばきましょ〜」のところ。ミナとノエラがでっかい荷台に大量のポーションを積んで売りさばくという本編では全く出てこなかった行商要素が笑う。ドラッグストアじゃないんかい。
セリフがちょくちょく挟まるのもうれしくて、最後の「本日もキリオドラッグにご来店いただきまして、ありがとうございました!」「るー!」で満足。「るー!」をテレビの前で一緒に叫ぶとなお満足。
作詞作曲編曲はマキャヴェリズムOPや銃皇無尽のファフニールEDなどなどでも有名な園田健太郎氏。イカした曲のイメージがありましたが、こういうタイプでも抜群の巧さがあってさすが。


他挙げたいものとしては、曲が圧倒的に好きで、またドール(アリス)のギミックも仕込まれていた『制服DOLL』(『ゲキドル』より)、ダンサブルでノリノリな『散文的LIFE』(『テスラノート』より)、毎回本編の終わりに時間ですよ〜と言わんばかりにイントロが流れて締めにかかるのが笑いを誘った『Elder flower』(『精霊幻想記』より)、揺れるヤシの木、スケボー失敗集の映像面が印象的な『インフィニティ』(『SK∞ エスケーエイト』より)、本編の旅路に重なる歌詞と鹿乃さんの歌声が美しい『コンパスソング』(『装甲娘戦機』より)など。素晴らしいEDは素晴らしい視聴後感を与えてくれます。


脚本賞

『やくならマグカップも』(シリーズ構成・脚本 荒川稔久) 春クール

yakumo-project.com


陶芸アニメ、そして多治見アニメ。陶芸という一見地味な題材ながらも、趣味の物語としても女の子と家族の物語としても見事な着地を見せた『やくも』を脚本賞に。レギュレーション上『やくならマグカップも』への授与ですが、実質的には1期2期両方への脚本賞とさせてください。
実質的に15分アニメだったにもかかわらず、それを感じさせない満足感を生み出していました。ギュッと詰めていながら美しく各回がまとまっているのがやはり上手い。風呂敷は広げすぎず、しかし登場するすべての要素への目配せは怠らない、そんな丁寧な脚本はこのアニメの優れた要素であると言っていいでしょう。
キメのシーンで印象的ながらも素朴なセリフを巧みに使っていたのもすごかったと思います。一期最終話、お父さんの「どうしても、座ってみたくなっちゃって」なんかは、陶器と生活に関わる姫乃の物語、そのスタートラインに立つところまでの締めとしてまさに相応しいセリフでした。
荒川さんの得意分野というか手グセというか、昭和の特撮ネタがところどころに入っていたのも個人的には好きなところです。成瀬直子がレトロサブカル趣味であること、おばあちゃんはオンゲー趣味であること、そんな自由な在り方も陶芸に通じているのかもしれません。


他に挙げたいのは、やはりまずは記憶喪失というトリッキーな要素をがっつりと絡めながら終盤の見事な視聴感が素晴らしかった『RE-MAIN』(シリーズ構成・脚本 西田征史)、そして世界観もキャラ周りもしっかり書きながらトンチキも抜群だった『ビルディバイド』(シリーズ構成 冨田頼子 脚本 冨田頼子、亜田井、枦山大、高木聖子)、登場人物がどこまでも複雑に絡み続ける『オッドタクシー』(脚本 此元和津也)、バリバリのSFをやりながら、説明するのではなく気持ちよく見せることが作品の面白さにもつながったゴジラS.P』(シリーズ構成・脚本 円城塔)など。
本家アカデミー賞では原作付き作品には脚本賞ではなく脚色賞という賞が贈られるそうです。『やくも』は原作が一応あるのですが、どれくらい原作を踏まえているのかは寡聞にして知らず……。ですが素晴らしい脚本だったことには変わりません。完全オリジナルアニメという意味では次点のRE-MAINもやはり素晴らしかったですね。


アニメーション賞


ワンダーエッグ・プライオリティ』(春クール)


wonder-egg-priority.com


若林信氏のTVシリーズ初監督作品となった『ワンダーエッグ・プライオリティ』。野島伸司氏を迎えた脚本も話題を呼びましたが、アニメーション賞で選出としました。
やはり、普通のアニメでは見れても1話か最終話くらいでしかお目にかかれないような気合いの乗りに乗ったアクション作画がまず目を惹きます。正直圧巻。ビビッドな色使いは思春期の女の子たち、その仄暗い心の中というテーマにも合っているように思います。止めの作画も美しく、このクオリティで走り切るのは大抵のことではないでしょう。
ただもちろんそれだけではなく、個人的にすごいなと思ったのは日常のふとした動きのアニメーション。アイちゃんがルンルン気分で歩いてるときの腕振りのアニメーションが一目でるんるん気分で歩いてるとわかるアニメーションだったのが強く印象に残っています。
さらに言うとアイちゃんがカーテンにくるまったカットなどで見られたネコ目など、美麗な作画、バリバリのアニメーションをやりながらアニメ的な作画表現もこともなげに取り入れていたところです。アニメが好きなのでアニメ的表現をやってくれるとそれだけで嬉しくなってしまう。
若林信監督といえばナナニジの『あの日の彼女たち』を手掛けた方。ワンエグはかなりトガった作品でしたが、このようなバリバリのアニメーション作品をまた見せてほしいと思います。


惜しくも受賞は逃したものの、もちろん他にも優れたアニメーション作品はいくつもありました。アニメ的な崩しのアニメーションが最高だった『スライム倒して300年』(特に10話のフラットルテはキマっていました)、帰ってきた京アニ『メイドラゴンS』、とにかくリッチな無職転生、個性的な演出と相まって印象的な『ぶらどらぶ』など。
美麗な作画、リッチな作画というものにはどうしても構えてしまうところがあるのですが、ちゃんと芝居をしている作画、またアニメ的表現で楽しませてくれるような作画は好きだなと思います。もちろんリソースに左右されてしまうものではありますし、全部が全部優れた作画であるというのは求めていないのですが、表現方法としてのアニメーションを来年も楽しみにしたいと思います。


MMC賞

奈良田愛(CV:花守ゆみり) 『かげきしょうじょ!!』 夏クール

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今回全部門の中で最も最後まで悩んだのがこのMMC賞でした。本当にたくさんの萌えキャラがこの一年を彩ってくれました。この中から一人を選ぶなんてできない、みんなにMMC賞をあげたい、でもMostと言うからにはたった一人しか受賞はできません。悩みに悩みぬいた末がこの結論でした。
奈良っち、いや萌えっち。貴重な笑顔が劇中で「奈良の開国」と呼ばれたように、ふとした瞬間の一挙手一投足に萌えが宿る、すさまじいキャラクターでした。さらさと友達になりたい萌えっち、さらさを名前で呼びたい萌えっち、風呂に沈む萌えっち、漢字が書けない萌えっち……。衝撃的な幼少期のトラウマも描かれましたが、そういう背景があってこそ萌えにも奥行きが出るというもの。キモオタさんも必死でキモオタをやっているのです。
かげきしょうじょという作品自体はなかなかに硬派な部分もあるというか、萌えを前面に押しているわけではないはずですが、それでも最終回、「萌え」の大切さが先生によって説かれたことはもはや答えであるわけです。これだけ萌えられていた奈良田愛は間違いなく魅力的な役者にもなれるのだということ。その萌えがもはや作品の掌の上だったという気持ちよさも含めて、今年のMMC賞を奈良田愛に捧げます。


正直他の候補を挙げればキリがないのですが、まずは『チート薬師』から、全員が萌えではあったのですが特に挙げるとすれば……ノエラかな……。ミナちゃんも本音ストレートという衝撃の回を経てなお加速する萌えを展開していました。『セブンナイツレボリューション』からはメイクコロッケヒロインファリアさん。ヒロインとしても非常に萌えを提供してくれました。『精霊幻想記』のセリア先生で萌えたことも数知れず。『月とライカ』のイリナシモニャンもそれぞれ主演女優賞、助演女優賞を獲りましたが、MMC賞とのダブル受賞となってもおかしくないポテンシャルがありました。『電池少女』のボクっ娘赤城りんちゃんも忘れられません。燃えと萌えのヒロインでした。ボクっ娘といえば、『女神寮』のオレっ娘すてあちゃんも非常に質量の大きな萌えを繰り出してくれました。本当にキリがない。
「萌え」はアニメにおいても非常に重要な要素のひとつであるとあらためて確信した一年でもありました。来年も萌えには敏感にアニメを見ていきたいと思いますし、MMC賞をこのアニデミー賞のひとつの目玉として育てていきたいなという思いがあります。


実況賞


『現実主義勇者の王国再建記』(夏クール)

genkoku-anime.com


アニメ実況で一番楽しい瞬間ってなんでしょうか。もちろん優れた作品をみんなで見るというのも素晴らしいのですが、実況行為でしか発散できない面白さというのがあるんじゃないかと、10年アニメ実況をしてきた自分は思ったりします。そういう得体の知れない面白さが間違いなくこの『現実主義勇者の王国再建記』にはあったと思います。
一番印象に残っているのは一話使ってメシを食ってた4話でしょうか。いろんな食材にいろんな調理方法、美味い美味いと食べるダークエルフの笑顔に、口からイナゴの脚がぴょこんと出てるトモエちゃんは衝撃の画でした。ED入りもなんとも絶妙すぎるタイミングで、初見時は興奮のあまりぶっ倒れていたようです。


ヒロインのリーシアが萌えだったのもポイントが高く、ヒロインの萌えシーンで「萌え!!!!!」とツイートすることでしか満たされない気持ちというのがあるのですよね。
EDもあまりに異常でした。本当にこう……形容し難い凄みがあります。進化の実EDも相当なものですが、ただただそれっぽい格言が次々浮かび上がる90秒はそうそう見れるものではありません。食糧自給率。臥薪嘗胆でこの後のジャヒー様とも繋がっていました。
放送時間もドヨル2530〜と一番盛り上がるコアタイムでした。テレ朝のRE-MAINと被っていたのだけは残念でしたが。
極め付けはまさかまさかの2期決定。というか元々分割2クールだったのでしょうが、これだけ騒ぎまくったエンタメアニメが2期をやるという報で実況民がテンションMAXになったのは言うまでもありません。2期なんかなさそうだけどやってくれたら嬉しいアニメに2期が決まる瞬間をオタクと共有できることほど嬉しいことはそうそうありませんからね。2022年初っ端からの第2クールも本当に楽しみです。


現国には一歩及びませんでしたが、今年の実況アニメといえばひぐらし卒』は外せません。普段アニメ実況をしないオタクも揃っての視聴は楽しかったですね。他にもゲツヨルの深い時間にもかかわらずたくさんの萌を届けてくれた『精霊幻想記』、作品自体の面白さとトンチキの両輪で実況アニメとしても素晴らしかった『装甲娘戦機』、とにかくたい焼きがデカかったWIXOSS DIVA (A) LIVE』、LP回復だけで無限に笑顔にしてくれた『俺だけ入れる隠しダンジョン』などなど。
アニメ実況はあくまでアニメの楽しみ方の一つでしかないというのは承知の上で、それでもこのスタイルはまだまだ続いていくと思うので、来年もオタクのみなさんとアニメ実況をやっていきたいねという気持ちです。よろしくお願いします。



CM賞

「壮大な冒険に期待しなさい!」(『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』スマホゲームCM)

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下馬評通り(?)セナレボから「壮大な冒険に期待しなさい!」が受賞となりました。
受賞理由……というほどのこともないのですが、とにもかくにもフレーズの勝利ですね。「壮大な冒険」だけだとありふれていますが、「期待しなさい!」という命令口調で背筋がピンと伸びてしまう感じ。気を抜くとハルヒの声で再生されてしまう。文字がちょっと小さめな画面もちょっと面白い。
何より本編が実際壮大な面白さになっていったことで、このCMの盛り上がりもグングン伸びていったのが一番の評価ポイントだったと言えるかもしれません。当然ながらCMも作品と共に歩むものなのです。
本放送時にはすぐCM枠を「二ノ国」に取られてしまい見ることはできなくなったのですが、月曜日のひげひろの次の時間に同クールで再放送枠があり、そこでは変わらず流れていたというのもポイント高いところです。最初は名CM目当てで見ていた再放送枠もだんだん本編が盛り上がるにつれてCM関係なく再放送自体が楽しみになっていくという……。毎日深夜テレビに張り付いてるリアタイ視聴のオタクならではの思い出があるのが良いですね。


他には2021年のアニメCMシーンを語るには外せない「ロイヤルリムジン」(『エクスアーム』内)、なぜか後継CMとして完全に定着した「デンタルリムジン」こと「デンタルテン」(『やくならマグカップも』、同二番窯内)、ノエラがかわいい「チート薬師円盤CM」(『チート薬師』内)、いくつかバージョン違いがある中でも最も強烈な印象を残した「ほ無遙」こと「ほろ酔いで 無防備な 遙子の姿も(アイプラアプリCM)」(『IDORY PRIDE』内)など。ほ無遙はアプリを始める一番の後押しにもなったので感慨深いです。
受賞には至らなかったものの、やはりロイヤルリムジンの存在感は圧倒的だったといっていいでしょう。今後も「○○リムジン」が擦られていくのだろうか……。個人的には謎アフレコ系円盤CMで強烈なのが見たいですね。



ベストアワー賞


『かげきしょうじょ!!』&『現実主義勇者の王国再建記』(夏クール 土曜深夜25時〜26時 @TOKYOMX)

実況賞ですでに現国が出てしまいましたが、「かげき再建記アワー」こと、この2作をベストアワー賞に選びました。
『かげきしょうじょ!!』は言わずと知れた今年の名作アニメ。舞台となった紅華歌劇の元ネタである宝塚は自分の生まれ育った地ということもあり、個人的に思うところも多いアニメでした。その名作アニメと上述の現国が合わさって、今年でも随一の視聴感を味わわせてくれたのが「かげき再建記アワー」。なんとな〜くのタイトルの雰囲気が似ているということもあり、伝説となった2018夏クールの「音楽覇王アワー」(『音楽少女』&『百錬の覇王と聖約の戦乙女』)を彷彿とさせるものがありました。
真っ当に面白いアニメの後にまたさらに別ベクトルの面白いアニメが待っているというワクワク感。もし2作の順番が逆なら受賞は別のアワーだったかもしれません。
3話放送時、かげきしょうじょでデブはいらないと指摘されるシーンの後、現国ではポンチョがソウマにベタ褒めされるというウルトラCシナジーが発生したのもすごかった。アワーの絆を感じた瞬間です(?)


他にも挙げたい今年のアワーとしては、名作×名作の「やくも吸死アワー」(秋クール月曜夜2230〜2330 @TOKYOMX)、楽しみアニメ×楽しみアニメの長瀞大運動会アワー」(春クール土曜深夜2500〜2600 @TOKYOMX→テレビ朝日)、骨太の名作の後に倫理崩壊ラブコメが全てを破壊して楽しく眠りにつかせてくれる「ブルリフもカノジョアワー」(金曜深夜2555〜2655 @TBS)など。
心に残る1時間を探し求めるのもアニメ実況の醍醐味です。


ショートアニメ賞

『アイドールズ!』(冬クール)


wsy-idolls.com



ショートアニメ賞は僧侶枠の牙城にギャグのキレで食い込んできた『アイドールズ!』を選出。
とにかくギャグのセンスが独特かつ一歩抜きん出ていた印象でした。いわゆる楽屋ネタですが、文字演出を取り入れたり、かなり独特のキャラだったりが面白い。謎の置物が実質ツッコミ担当ですが、それによってメインの4人が自由にボケられていたのも良かったです。
好きなのは金髪長身のるか。謎にノンアルビールをあおってるのがグッド。メイン4人は新人声優ですが、そのうちに出てきて欲しいところ。
冬クールはアイドールズ、ゲキドル、アイドリープライドというトガったアイドルもの3作品が一堂に会しており、それぞれに魅力ある作品でした。ショートアニメながら、同ジャンルの強豪相手に十分以上に戦えていたこのアニメにショートアニメ賞を授与します。


他にはやはり僧侶枠から、トランスBLモノという攻めたジャンルでしっかり決めた『黒ギャルになったから親友としてみた。』、美しい画面作りとしっかりした京都弁が魅力の舞妓さんちのまかないさん、監督脚本の森田と純平氏のセンスが光る『キミとフィットボクシング』など。来年も素晴らしいショートアニメに出会えるのを楽しみにしています。


特別賞

『IDOLY PRIDE』(冬クール)

anime.idolypride.jp



特別賞として『IDORY PRIDE』。アニメ単体では評価が難しいところもあるものの、一年を通して再放送し続ける偉業の達成、心臓移植という今年のアニメシーンを席巻した設定、そして何より自分がアプリからこのコンテンツにハマり、初見時からは考えられないほど好意的に見られているということなどから特別賞の授与としました。
上述した通り初見時のアニメの感想はそれほど高く評価するものではありませんでした。天文学的確率の同点に代表されるように、ほぼ死に設定かつアイドルの観客に届けるという在り方とも相性の悪いAI採点システムや、最終回に担当アイドルをほっぽり出して幽霊に会いにいくマネージャー牧野。後者は個人的には和解できた部分ですが……。ただ、ライブの作画、CGは出色。「ただのアイドルアニメではない」のキャッチフレーズは同クールに『ゲキドル』という怪作があったこともあり上滑り感があったのが不憫といえば不憫です。
しかしなんだかんだでアプリを触るようになり、キャラに愛着が湧き、シナリオもアニメプラスマイナスアルファで咀嚼することで、そしてそれと同時にテレ東夕方枠というなんともな枠で毎週見ることで、自分でも驚くほどこのアニメを好きになることができました。やはりキャラクターは魅力的で、ただ12話の尺ではほとんど深くは描けなかったのも確か。キャラを分かった状態でアニメを見ると一気に立ち上がるものがありました。シナリオの方も麻奈というまさに"幽霊"に取り憑かれた牧野をはじめ、姉として、憧れとして、そしてライバルとして各キャラに立ちはだかった伝説のアイドルを乗り越える物語、「サヨナラから始まる物語」というコンセプトはしっかり描けていたと思います。
2022年にはライブも参加予定で、今一番楽しみなコンテンツです。麻奈役の神田沙也加さんの逝去にはただただひとりのファンとして祈りを捧げることしかできませんが、神田さんの麻奈の演技、そして歌がこのアニメを唯一無二のものにしていたことは忘れられません。


作品賞

最優秀賞『月とライカと吸血姫』(秋クール)

tsuki-laika-nosferatu.com



優秀賞『装甲娘戦機』(冬クール)
『やくならマグカップも』
(春クール)
『ゲキドル』
(冬クール)


soukou-musume-senki.com
yakumo-project.com
gekidol.com



2021年の最優秀作品賞は、種族を超えた宇宙への憧れ、そして愛を、時に壮大に時にミニマムに描いた傑作、『月とライカと吸血姫』に授与したいと思います。
自分がこのアニメを見ていてハマった要素として、思い返してみるとそれは没入感にあったのではないかと感じます。そしてそれは、主に音響周りによるところが大きかった。ツィルニトラ共和国のそれっぽい劇伴、冷え冷えとした画面の中で交わされる会話。主演、助演女優賞を獲ったように、特に声優の演技は抜群で、物語に惹き込まれるには十分すぎるものでした。
シナリオラインも見やすく、まとまりも良かった。地味といえば地味かもしれませんが、人類史上初の宇宙飛行という偉業へ向かう日々は常に緊張感があり、それゆえにたまに挟まる日常の緩やかなシーンの嬉しさも一入。まさに緩急がしっかりとついていて、中弛みも感じることなく飽きさせない面白さがあったと思います。
アニメーション的な部分でいうと、やはりヒロインイリナとアーニャがときどき見せてくれるアニメ的作画、画面が何より嬉しかった。これも緩急のひとつですね。アニメがアニメである意味を感じられる喜びがありました。
日曜の深夜2535〜という深い時間でしたが、ほぼ毎週リアタイをして、そして毎回本当に深く沁み入っていました。自分が深夜アニメで見ていてうれしく思う作品ってのはこういう作品なんだとあらためて気付かされましたね。
嘘と真実というテーマも印象的です。アニメというのは話はもちろん、そもそも絵の表現ですので、嘘か真実がでいえば嘘なわけです。それでもその嘘を見て感動して涙を流す自分、その涙は嘘偽りのない真実である、そんなことを思っていました。嘘や真実は絶対的なものでないこと、それは常にフィクションに触れている自分にとっても突き刺さるものでした。
最後に。音泉配信のアニラジ、『アーニャ・シモニャン・ラジオニャン!』もとてもいいラジオでした。シモニャン役木野日菜さんの声がまずめちゃくちゃ良いのですが、毎回キャストやスタッフをゲストに呼んでの作品についての話が面白かったです。特に監督がアニメスタッフの一人一人の名前を呼んで感謝を伝える回は名作でした。全てが噛み合った素晴らしいアニメだと思います。


続いて優秀賞三作品について。
まずは『装甲娘戦機』 。最初こそその独特のノリ、良く言えばトンチキ、悪く言えばチグハグなノリに喜びつつも掴みきれずにいたのですが、「命がけの修学旅行」というキャッチフレーズに触れてからはかなりきれいに咀嚼できた気がします。異なる世界から集った女の子たちが説明もなく命を張って戦わなければならない理不尽と、そうであるからこそかけがけのなさが生まれる旅路。AIネイトの立ち位置も良かったですね。
共に過ごすチームとして、食事シーンが象徴的に挟まれていたのもこのアニメの特筆すべき点でしょう。みんなでカップ麺を食べるシーンがこんなにもうれしく感じられるアニメなんですよね。
個別回で印象に残っているのは、「たまたま」集まったにすぎない彼女らの、その関係性の描き方が秀逸な7話「スズノの秘密」(これも食事がキーになっていました)、そして総集編ながらここまで描かれていなかった「大人」の視点を示しつつ、それでも、そうであるがゆえの彼女たちの在り方の肯定につなげてみせた10話「この世界のために?」です。最終回のスパッとした終わりも、余韻を残しつつ非常に美しい締め方だったと思います。

次に『やくならマグカップも』。女の子×マイナー趣味というアニメはたくさんありますが、多治見という陶芸の街を存分に活かし、そして実写も含めて描写することで、彼女たちの物語の輪郭がバッチリ決まっていたところにまずひとつこのアニメの強みがありました。実際聖地巡礼も行ったのですが、「陶器の街」ということに注目してみるとまた見えてくるものもあって楽しかったです。居酒屋では「多治見では知り合いから売り物にならない陶器をもらったりするから、皿をわざわざ買うことってあんまりないかもしれない」みたいな話も聞けて良かったですね。
さてアニメですが、脚本賞のところでも触れたように、15分という枠ながら毎回濃密な視聴感を届けてくれました。実写の枠がセットとなっていましたが、本編とのリンクという面ももちろんさることながら、実写の時間でゆっくりアニメを咀嚼できたことも振り返ってみれば良かったですね。姫乃の物語として筋を通しながらも各キャラクターへの目配せもバッチリ、またアニメーションも抜群で、本当に活き活きとしたアニメだったなと思います。

作品賞の優秀賞もう一作品は『ゲキドル』。ここ数年でもトップクラスに「次が気になる」作品で、自分は配信しか見る手段がなかったのですが、毎週配信即視聴していました。普段配信での視聴は後回しになりがちだったので、擬似的にリアルタイム視聴のように再生するのはどこか新鮮な感覚でワクワクしていたのを覚えています。
ゲキドルというタイトルでしたが、アイドル要素はそこそこに演劇要素が最後まで作品を貫いていたのがとても印象的でした。終盤の重厚なSF要素が演劇に回収されていく様はなかなか味わえない気持ちよさがあり、これ本当にまとまるのか?というところをなんやかんやで締めた力量は天晴れをあげたいです。最終話サブタイ「終わりよければすべてよし」もめちゃくちゃ良かったですね。終わりよければすべてよし、確かにその通りだな〜と思いますし、実際その通り「終わりよければ」になっていたのがもう文句なしです。
せりあ、あいり、いずみたちの湿った関係性も、かわいいキャラデザとのギャップも相まってこのアニメの魅力でした。放送当時の自分の感想いわく「喪失と仮託の物語」らしいですが、まあ当たらずとも遠からじといったところでしょうか……。
もう一つ、楽曲も非常に好きで何度も繰り返し聴いていました。特に『キズナ』、『制服DOLL』、『トーキョーロンリーガール』はお気に入り。後期OP『時の翼 Chrono Geizer』のタイトルのナニモン感もめちゃくちゃ好きです。終盤までいくと確かに物語に合ってる気がする!となるのも面白さがありました。





おわりに

以上、2021年アニデミー賞各部門表彰作品でした。2021年中に書き上げるつもりでいつの間にか2022年の三が日も終わってしまいましたね。
これまで話数単位の振り返りは毎年やっていましたが(2019,2020年は記事未完成ですが……)、アニメ全体の振り返り記事は書けていませんでした。各部門を設定することで、いろいろな角度からあらためて今年(2021年)の作品を思い返す良い機会になりました。それなりにたくさんの作品について言及することができ満足しています。それでもまだまだもっと書きたいことはあったなと思いますが……。

アニメ、やっぱり面白いなと思います。一年を通じて平均1日あたり2,3時間は見ていたと思いますが、飽きを感じることはやはりないですね。というか足りない。多分今年もたくさんアニメを見ることになるでしょう。毎年、過去作視聴と気になった作品の再視聴もやっていこうと思うのですが、なかなか新作を追うだけで手一杯になってしまうのが残念なところです。このあたりは良いバランスを追求したいと思っています。

アニデミー賞、受賞作を考えるのはもちろんですが、各部門自体を考えるのも楽しくて、自分はアニメを見るときに何を特に評価ポイントにしているのかの振り返りにもなった気がします。ボリュームは大きくなってしまいましたが、いろんなオタクのアニデミー賞が見れたら楽しいなと思いますね。そんなわけで2022年も良きアニメライフを過ごしましょう。



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