いつかあの日の夢を超えて ー「愛」が動かすアイドルコネクトー

2016年11月30日15時。アイドルリズムゲーム『アイドルコネクト-AsteriskLive-』はサービスを終了した。

2019年11月30日0時。アイドルノベルゲーム『アイドルコネクトADV Vol.01』は無料配信キャンペーンを始めた。


「過去」しかなかったアイドルコネクトにはもはや「今」があり、そして「未来」すらも手が届きそうなところにある。アイドルコネクトは今、前を向いている。



アイドルコネクトとは、2016年夏に当時隆盛を誇っていたアイドルリズムゲームの一つとしてリリースされ、同年秋にサービスを終えたいわゆるアイドルソシャゲである。
ゲームシステム、UIなどは頗る評判が悪く、ゲームとしての寿命が短かったのは致し方なかったのかもしれない。ただ、ラノベ作家を迎えて書かれたシナリオとキャラクターに関しては異様なほど完成度が高く、そのシナリオに魅せられたアイコネのファンたちはそのあまりに早いサービス終了を惜しみ、シナリオが未完に終わってしまったことを悔しがり、いつしか「ゾンビ」と自称するようになっていった。

アプリサービス終了後もストリエで新規エピソードを公開してくれたが、メインストーリーの続きはついぞ公開されることはなかった。

そして2017年9月17日。サービス終了から1年近くが経ったこの日、アイドルコネクトとして最初の、そして誰もが最後になるだろうと覚悟していたライブイベントが行われた。
それはCDのリリースイベントの形をとり、アキバのゲーマーズイベントスペースで開催された。予想に反し、そのリリースイベントは「ライブイベント」だった。森さん、芝崎さん、相坂くんの3人が、あの場所でアイコネの曲を歌って踊ったのである。間違いなく。そしてアイドルコネクトノベルアプリの発表もなされた。アイドルコネクトはこんなところで終わらなかった。

2018年夏。当初のアナウンスより季節が二つずれてアイドルコネクトノベルアプリ、『アイドルコネクト ADV Vol.1』がリリースされた。
リズムゲーム時代のアプリに収録されていたシナリオ全てが収録されたのに加え、メモリア、そしてナチュライク!のメインシナリオの続きが新たに収録された。それは2年続きを待ち続けたゾンビたちにとってこの上ないことであったが、しかしサービス終了時点で最新のシナリオだったGARNET PARTYの続きは収録されず、あのシナリオのヒキはまだゾンビたちの心臓を掴んだままだ。

ノベルアプリという命を再び得たアイドルコネクトであったが、それから約1年ほどは目立った動きはなかった。待たされることには慣れているし、そもそも元が終わったコンテンツなのだ。ノベルアプリがリリースされていつでもシナリオを読めるように、いつでも事務所の9人のアイドルたちに会えるようになっただけで十分、そんな風に考えることも増えていった。

2019年に入り、相坂くんのソロライブ、森さんの出演したナナシスのライブにアイドルコネクト制作チームがフラスタを出すということがあった。私は相坂くんのソロライブで彼女が演じた唯のキャラソンが歌われるんじゃないかと本気で期待したが、そういうことはなかった。ただ、そのライブには森さんと芝崎さんも来ていた。そういうことが嬉しかった。

2019年7月、突如アイドルコネクトpixivFANBOXが開設され、ゾンビたちにアイドルコネクトを直接支援する場が開かれた。そして、それ以後毎週アイドルコネクトの更新がなされるようになった。その一つとして、月一でアイドルコネクトの動画つきラジオが始まった。

そのコネラジ第3回、メインパーソナリティーの森さんとゲストの芝崎さんがひたすらアイコネの話をしていた。あの2017年9月17日の話も、それよりもっと前のオーディションの話も、そしてサービスが終了したときの話も。
森さんも芝崎さんも、今でもアイコネのことを好きでいてくれている。演者の方がこうしてずっと好きでいてくれているのは、ファンとしてこんなに嬉しいことはない。ファンが、そしてライターはじめスタッフがアイコネのことを愛してくれているからアイコネは今ここまで進んでこれた、と森さんと芝崎さんは言っている。そしてそれはもちろん、演者の方もこうしてアイコネを好きでいてくれたからこその今なのだ。今日、このラジオを聴いて、演者の方から作品に対する思いを聴いて、改めて今、3年前にサービス終了したときに想像していた未来とはまったく違う場所にいることを感じた。3年前はこうしてアイコネのラジオを聴くとはもちろん思っていなかったし、そもそも3年後も同じだけ(もしかしたらあのとき以上)の熱量を持って接しているとも思っていなかったかもしれない。
それに、この3年で新たにアイドルコネクトに触れてくれた人が間違いなく自分の知る範囲にいる。もっといろんな人に知ってほしい、触れてほしいと願ってはいたけれど、それをうまく想像することはできなかった。そういう意味でも、この3年は自分の想像を大きく超えたものになった。


先月、本渡楓さんがラジオ本渡上陸作戦のなかで、短くない尺を使ってアイドルコネクトのこと、彼女が演じた羽田千乃のことをしゃべってくれた。
本渡さん、今や人気声優の一人であるが、アイコネリリース当時はまだそれほど名前の知られた方ではなかった。それゆえにアイコネは思い入れも強かったのかもしれない。繰り返しになるが、こうやって年月を経てからも演者の方からその話が聴けることがどれだけ嬉しいか。どれだけ力になるか。もういくつお仕事をやったかわからないような方からもアイコネの話が聴けたのだ。やっぱり本物だったんだと、そう信じたっていいはずだ。






ここまでこの現実世界でアイドルコネクトにどんなことが起きたのか振り返っていたが、ここからはアイドルコネクトの世界の中の話をしよう。


9人のアイドルについて。


春宮空子。メモリアの、そしてこの作品のセンター。ただ周りの人を笑顔にしたくてアイドルになった女の子。常識外れの優しさは、コメディに振れたときの抜群の魅力をも生み出す。


瀬月唯。かわいいものが大好きでアイドルになった女の子。ビジュアルから求められるものと自分が好きなものとのギャップに悩む彼女は、手先も含めて不器用だ。しかし、彼女のその真っすぐな眼差しこそが我々の心を射抜く。


羽田千乃。マイペースという言葉が陳腐すぎるほどの天才。真っ白なキャンバスに何でも描けるように、彼女はやりたいことをやる。


火ノ前留奈。ずっとアイドルを目指していた女の子。才能を前にして、彼女は想いと努力を振りかざす。月の宿命を背負っても、輝ける日を誰よりも信じて。


高花ひかり。誰とでも仲良く。そんな太陽のような女の子。誰も傷つけないような生き方は、いつか誰かを傷つける。それでも眩しい笑顔こそが、彼女の一番の魅力だから。


古風楓。落ち着いた振る舞いから、大人びて見られる女の子。太陽と月の間で、彼女は今日も淹れたてのお茶を振る舞う。


柚木ミユ。ロシアの血を引く関西人。楽しむことにかけて彼女の右に出るものはいない。何だってやってみた方が楽しいと、単純で大切なことを教えてくれる。


泉水つかさ。北陸から来たお嬢様。知らないことを知りたくて、初めてのことをやりたくて。アイドルの輝きは、彼女の目が一番眩しく捉えている。


坂上八葉。頑張ることで自分を好きになれた女の子。努力をするのは、自分を好きでいたいから。そのために彼女は、今日も走ることをやめない。




私は、この9人全員が好きだ。この中の誰が欠けてもアイドルコネクトは成り立たない。でもあえて一人選ぶとするなら、自分は柚木ミユという女の子が好きだ。自分と同じ兵庫県出身ということもある。彼女が言った言葉で、とても好きな言葉がある。

「そりゃもう、なんでもやってみたほうが、きっと、もっと人生楽しくなる! って思うんです!!」

楽しむことの天才である彼女が言い放ったこの言葉は、わたしを勇気づけてくれる。そして、自分でもなんとなくこの言葉の通りかなと、そんな風に思えることが増えた。
彼女のとろけるような笑顔が、羨ましいほどの感性が、わたしの心を掴んで離さないのだ。




これはフォロワーの受け売りだが、アイドルコネクトのシナリオは、アイドル賛歌だ。アイドルをやること、ひいては人と人とが擦れ合うことには、いろいろな問題が付き物である。それでも、彼女たちがアイドルをやる意味はあるし、この世にアイドルがいる意味はある、そんなことを伝えようとしているのではないか。その「意味」はファンにとってだけではなく、もちろん彼女たち自身にとってもそうである。

この物語は何者でもなかった女の子たちが、いつかアイドルに繋がる物語だ。一人一人の個性は「色」である。自分のもつ「色」に気づいていなかった「普通の女の子たち」は、彼女たちの関わりの中で自分たちの持つ「色」を鮮やかにする。それぞれの個性をもって彼女たちは「カラフル」に変わっていく。そうした彼女たちがユニットとして、アイドルとして一つになることで、それぞれの鮮やかな「色」は「虹」という一つの「色」になる。
アイドルコネクトは、セピアがカラフルに、カラフルが虹へと変わる物語。いつか虹になった彼女たちを見たい、その気持ちだけでこのコンテンツを応援し続ける理由は十分だ。それはいつかのシナリオの完結、そしていつかの1st AsteriskLiveをもって報われる。その日を夢見て、今日もわたしは騒いでいる。でもそれは、どうやらまったくの夢物語でもないらしい。今よりもさらにたくさんの人にアイドルコネクトが知られて、今よりもたくさんの人がアイドルコネクトを好きだと言ってくれたら、いつか本当に実現しそうなのだ。昔話ばかりで恐縮だが、3年前はこんなにこのコンテンツのことを信じられる日が来るなんて想像できなかった。アイドルコネクトを信じて良かったと、死ぬ間際にそう言うことができたなら、わたしの人生もなかなかどうして悪くなかったんじゃないだろうか。



あらためて、わたしは少しでも多くの人にアイドルコネクトという作品に触れてもらいたいと思っている。そのためにはノベルアプリを読んでもらうのが一番の王道であるわけだが、そのノベルアプリ、通常480円のところを12月7日までの1週間限定でなんと無料で配信している。この機会にまだアイコネのシナリオを読んでいないという方は是非しれっとダウンロードしてほしい。読むのは後からでもいい。でも読んでもらえれば後悔はさせない。きっと、この作品に触れて感じるものがある人がこの世にはまだまだたくさんいるはずなのだ。そしてもしアイドルコネクトのことを好きになってもらえて、気が向いて財布に余裕があって、pixivFANBOXで支援をしてくれたりすれば、そんなにうれしいことはない。毎週ちゃんと何かしらのリターンを用意してくれる。こんなに継続して供給があったことは今までなかった。本気になるときがどうやら来ているようだ。まだまだ知名度も低いけれども、スタッフが、演者が、ゾンビが、そして私自身がアイコネを好きでいる限り、アイコネには未来がある。わたしは、もっとたくさんの人と一緒に、この未来を待っていたい。










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