アイドルコネクト 終わりに向かう、終わらない物語

アイドルコネクト-公式ファンクラブ-|pixivFANBOX



2019年7月20日。アイドルコネクト公式ファンクラブが始動した。

不思議なくらい、本当に我ながら不思議なくらいに自分はアイドルコネクトのことが好きだ。サービス終了から2年と8ヶ月が経っているが、正直言ってその気持ちはまったく薄れていない。むしろ明らかに強まっていると思う。

自分はなぜこんなにもこのコンテンツのことが好きなのか。ずーっと考え続けているけど、明確な答えは出ていない。

先日、おそらく初めて自分以外のアイコネゾンビとともにアイコネシナリオ鑑賞会をした。(鑑賞会といっても3人で小さなスマホの画面を覗き込むだけだ) それは、予想に反して驚くほど静かな会だった。もう何度も見ているはずのストーリーを見てすすり泣き、ストーリーが終わったらぽつぽつと感想をこぼし合う。とても幸せな時間だったし、自分以外にもこうしてアイコネを好きな人がいるということがやはりすごく嬉しかった。



ファンクラブは月1,000円、月3,000円、月10,000円の3つの支援コースがある。

月10,000円。つまり年間12万円。

値段設定からして、月1万円のAsteriskコースは本当に「支援」なのだろう。毎月1万円に見合う(と一般的に考えられるだけの)リターンを継続的に用意できるとは到底考えられない。

今、世の中にはたくさんのコンテンツがある。つまり、たくさんの「お金の払い先」がある。
年間で12万円もあれば、それなりにいろんなことができるだろう。それに、ただ口を開けて待っているだけでいくらでも供給のあるコンテンツもある。そしてそういう作品は大抵とても完成度が高い。完成度が高いからファンが集まり、ファンが集まるから金が集まり、金が集まるからさらに完成度が高くなる。まあでも、それはほんのごく一部だ。


アイコネのキャラクターたちの物語は、現状止まったままだ。それも、とても宙ぶらりんな状況のまま。わたしたちの人生は、どんなことがあっても毎日ひたすら前に進んでいくしかない。止める手立ても、巻き戻す術もない。しかし彼女たちは、生を受けたあと、途中で止まっている。人には、生物には、「死」という終わりが等しく訪れる。この世に生を受けた数多のキャラクターたちにとって、「終わり」は決して平等に訪れない。




アイドルコネクト公式ファンクラブ開設について|告知|ソラゴト通信局


石原宙さんのブログには、クリエイターにとって自分の子供も等しい自分たちが生み出したキャラクターたちを、ちゃんとしたゴールにたどり着かせてあげたいんだという気持ちが綴られていた。
誠実な方だなと思った。石原さんがアイコネの制作チームにいてくれて良かったなと思った。というより、こういう方が携わっているからこそこんなに好きになれるのだろうとも思った。


アイドルコネクトは再スタートを切った。そしてこれは、終わりへ向かうスタートだ。ゴールが目標のスタートだ。
そしてその手伝いを、お金という直接的な形で我々は担うことができるようになった。
「ファンクラブの収益金は、全額アイドルコネクトの活動のために使われます!」といううさんくさい一文。しかし自分は、この一文がすごく頼もしかった。多分わたしは、アイコネゾンビたちの中ではかなりアイコネの未来を信じている方だと思う。自分で言うのもなんだけど、純粋なんだよな。

そしてもちろん、『アイドルコネクト 1st Asterisk Live!』の開催も、真に心から望み続けたゴールだ。わざわざ「1st」とつけているのがうれしい。
アイコネのライブを見るまでは死ねない。キレピを生で聴くまでは死ねない。何度も何度も心の中でつぶやいた。何度も何度も妄想した。もしかしたらそれは、もはや妄想ではなくなるのかもしれないのだ。


シナリオの完結、そして9人揃ったライブの開催。何度も何度も信じては、何度も何度も諦めて、それでも何度も何度も何度も信じたこと。たぶんなんだが、これが本当に実現可能なレールに今我々の世界線は乗っている。これってすごいことですよ。特異なことですよ。もうあと一歩、二歩、いや、まだ十歩くらいあるかもしれない。でもここは、今度こそ本気で信じていいんじゃないかと思う。自分はアイコネのことを諦めそうになったとき、いつもあの秋葉原ゲーマーズ6Fでのイベントのことを思い出していた。あの日自分が見たこと、感じたこと。社長が涙を流しながら誰かと硬い握手を交わしていたこと。あの日、我々は「本物」を見たんだと信じている。今後、アイコネのことを諦めそうになることはまた何度も訪れるだろう。社長の煮え切らない態度にやきもきすることもたくさんあるだろう。そんなときがきても、今日この日のこの感情を忘れないで、また再びアイコネのことを信じていきたいのだ。